ハチミツとサンガリア


「とうちゃん、お乳は出んけど、昔、ハチミツが出てたで。」

子どもたち3人とお風呂に入ってたとき、シマがお乳を欲しがる仕草をして「とうちゃんにお乳もらいー」とシズが言った。「とうちゃんは男やからお乳はでえへんで。」タイガがすかさず返す。そのあと僕の口から自然と出たのが、このしょーもないウソ。

その時は、それ以上話が発展しなかったけど、タイガもシズも時々思い出したように、それは必ずお風呂の中なんやけど、僕からハチミツが出てたときの話を聞きたがる。そのたびに僕は妄想を膨らませ、かといって作り話とは悟られないように、少し目線を上に向け、昔を懐かしむように静かに語る。

「じゃあ、海にいったときの話をしてやろうか。」
「うん、うん」タイガとシズが目を輝かせる。
「とうちゃんは男やから海パンで泳いでてんけど、海からあがると、ミツバチがとうちゃんのパイパイに群がんねん。めっちゃいっぱいやで。なんたってハチミツが出てるからなぁ。」
「え、刺されへんの?痛くないん?」
「刺されたりはせえへんよ。でもな、両方のパイパイにミツバチがいっぱい群がるから、遠くからみたら、ビキニ着てるみたいにみえんねん。とうちゃん男やのに、ビキニとかそんなんめちゃ恥ずかしくて、それ以来、海には行けんようになってしもたわ。」
この話、シズは興味がなかったのか、もしくはミツバチが群がる様子を想像して気持ち悪かったのか、ぽかーんとしてただけやけど、タイガは同じ男だからか僕のせつない気持ちがわかったようで「あぁそうかー」と哀しい目で同情してくれた。

また別の日には、これももちろんお風呂の中で、こんな話をしてやった。
「フランスパンを薄く切って、パイパイから出てくるハチミツを直接パッとつけて、パクッて食べたら、最高にうまかったな~。パンだけ買ってきたら、いつでもどこでもハニートーストやったな~。」
「シズちゃんも食べたかったな~。」と食いしん坊のシズが目をキラキラさせながら言った。
「でもな焼いたフランスパンやと、パイパイをヤケドするから気をつけなあかんねん。」

こんな具合に、ちょくちょくしょーもないハチミツ話をしても、ふたりは信じているらしく、タイガは自分の胸を手で摘みながら「タイガもハチミツ出るかな~」なんて言ってる。
「でもなタイガ、なにが出るかはわからんで。なにが出るかはお楽しみや。」と将来に希望を持たせることも親として忘れない。

で、僕の頭の中は「ないが出るかお楽しみ。」このフレーズで遠い遠い昔にタイムスリップしてしまった。

僕が子どものころ、近所の自動販売機、確かサンガリアの自動販売機やったと思うけど、二列並んだ缶の右下に今では考えられない挑発的な缶があった。その缶には灰色の厚紙が雑に巻きつけられていてマジックで乱暴に「なにが出るかお楽しみ!」と書かれてあった。
本当はシュワシュワ爽快なラムネが飲みたいのに、右手の人差し指はどうしてもヤツを押したがる。もしかしたら、それだけ50円だったのかもしれない。とにかく、逃げたくなかった。自動販売機のバックに大きな闇の黒幕がいるように思えた。実際は黒幕ではなくユーモア溢れるサンガリアの社員やったんやろうけど、当時僕は仮面ライダーや宇宙刑事ギャバンなんかを見すぎていたのだ。

小遣いがたまる度に、この自動販売機にやってきて、僕は勝負した。

息をとめてボタンを押す。

ガコンッ!

甘酒。。。

「うわっ、さいあくっ!」
膝から崩れ落ち、悲しさと後悔の念で涙がでた。それでも、僕はラムネが出るまで戦い続け、そして何戦目かでついにラムネを出した。僕はついに勝ったんだ。一度ラムネを出してしまってからは、この自動販売機に対して、それまで持っていた執着が一切なくなった。そして月日は流れ、その挑発的な缶は、なにかしょうもない新商品と入れ替わってしまったのだった。

最近、ブログを書いてないな~と思って、書き始めたら、こんなことになってしまった。
最後まで読んでくれた人は「こいつ大丈夫か?」と心配になったかもしれないけど、まあこれも一種のメルヘンなのです。タイガやシズやシマと過ごしていたら、前半のハチミツ話のようにいつでもこういう世界に入っていけるのです。そして後半のサンガリア話では、ユーモアの大切さとチャレンジし続ければ夢は叶うということを実体験から語らせてもらいました。タグ付けするなら「ビキニ,ハニートースト,サンガリア,ギャバン,シャリバン,シャイダー,遊び心,メルヘン」こんなとこかな。

いや~、我ながらしょうもない。しょうもなくて、いいね。
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 2014_05_09


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瀬戸内・小豆島の築90年になる古民家に暮らす。小豆島に引越し6年目。どうしようもない旅好き夫婦と一男三女。旅するように島の暮らしを楽しみたい。

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