沖縄滞在紀(番外編) - 季節はずれのお年玉 -


前回書いた海と風の宿での出来事。

その夜、志保は部屋で大雅を寝かしつけていて、僕は共同スペースで志珠を寝かしつけていた。
志珠はすんなり寝たので、座布団の上において、僕はオリオンビールを飲みながら本でも読むことにした。

そこへ元気な年配の女の人が3人やってきて、宿に泊まっている同じく年配の人と、なにやら神妙に挨拶を交わし始めた。椅子などが用意され、何か始まりそうな感じだ。聞くと、普天間基地移設問題で、辺野古への移設に反対する会の人たちだという。どうやら移設問題の話し合いらしい。熱心な話が静かな夜の宿のイカシタ共同スペースでつづく。

その話し合いの途中で、志珠が泣き出したので、「すいませ~ん」と言いながら抱っこしてあやしていた。

2時間ほどで話し合いも終わり、帰り際、リーダー風の人が

「これ!」

と言って、何かを僕に手渡そうとしている。
僕は左手で志珠を抱っこしたまま、反射的に右手を差し出した。

「いま持ち合わせがこれしかないけど、お年玉!」強引だった。

僕が、
「えっ、あっ、うっ、これ、ちょっと。あのっ」
なんて言いながらあたふたしている間に、その人たちは、

「父ちゃん、がんばれ~!」

と言いながら、風のように去っていった。



一瞬の出来事でなにがなんだか理解できない。
ぽか~んとしばらく立ち尽くす僕の顔は、たぶん口が半開きでだらしなかったと思う。

ずしりと重い右手の中は小銭であふれていた。
季節はずれのお年玉は、全部小銭で、あわせて950円ほどあった。

知らない人にお年玉を貰ったことなんてないので、事態を飲み込むのに時間がかかった。
「知らない人にモノを貰ってはいけません!」
小さい頃に親や先生からキツク言われていたことが頭によみがえる。
しかし、もう手遅れ。どうしたものか?

ここは、沖縄。これが、沖縄。そうだ狭い了見じゃなく、もっと大きな気持ちで受け止めよう。
きっとあの人は「子供は宝よ~。大事に育てなさいね~。」という気持ちをお年玉に込めてくれたんだ。

モノじゃなくハート。ありがとう。

そのお年玉で、僕は連日オリオンビールを飲んだ。
心が満たされ、いい気分で志珠を抱っこしてやれたので、『志珠のお年玉』の使い方としては、決して間違ってないのだ!
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 2011_02_25


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瀬戸内・小豆島の築90年になる古民家に暮らす。小豆島に引越し6年目。どうしようもない旅好き夫婦と一男三女。旅するように島の暮らしを楽しみたい。

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